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西村敏彦のほらふき・ドンドン
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| 西村工務店―今日までそして明日から |
| 西村が超多忙(またまた、見積り作業の真っ最中)のため、原稿を書く時間がとれません。今回のほら・ドンは、以前、西村が建築ジャーナルの本『くつろぎ 安心 木のすまい』のために「西村工務店―今日までそして明日から」というタイトルで書いたものです。ホームページ内の他の文章と重複している部分があると思いますが、お許しください。 私たちの家づくりの原点は「数奇屋」でした。自然素材に親しみながら伝統的な家づくりを三代に渉って(2004年で創業90年)やってきました。 ‘90年代に入り、シックハウス問題を入口として住宅を原点から見直す事を始めました。住み手の健康問題を基本に据え、まず室内環境を整えてゆくことを考えました。 「数奇屋」はとりもなおさず<自然素材住宅>でした。しかし「数奇屋」は自由闊達な様式でありながら、本来とはかけはなれた、柱は無垢の秋田杉(自然林)・床柱は北山杉の自然絞のみがき丸太・柱石は鞍馬石・床板は・・・・、というようにブランド品を集めた、地域と隔絶したものになってきていました。このように「数奇屋」はいわば金持ちの“ステイタス”のような側面 も示しており、私たちの代になった時私たちらしくないと思いました。そこで私たちはサラリーマンの年収で建てられる<無名良品>の自然素材を使った<普通の家>を提案したいと思いました。 そのように設定した時に近くの山の木である杉、それも節アリの一等材をふんだんに使ってゆくことを始めました。消費者と生産者、流通 の川下と川上をダイレクトに結ぶ「産直住宅運動」と呼ばれる活動を通 じ住み手に健康負荷をかけない住宅をつくる運動に関わり始めました。もう少し具体的に述べるなら<環境>をキーワードにした「室内環境・地域環境・地球環境を悪化させず自然と共生してゆける住宅」を理想的な住宅=「自然住宅」と称し、それに一歩でも近づこうとする「自然住宅運動」というものを推進していこうと思ったのです。「産直住宅運動」と「自然住宅運動」との往還の中で見えてきたテーマが「森の利用と再生システムの構築」ということでした。 21世紀を循環型社会にするために、例えば国産材利用の「木の家づくり」が活発になってくると、人工林の木が50年〜60年のサイクルで切り出され、木の苗が植林されます。そうすれば若木が二酸化炭素を定着していく。この循環の連鎖が地域環境・地球環境に寄与してゆきます。このテーマを<筑後川流域>の川のつながり、山のつながりで考えてゆき、ひいては九州という地域に収斂 されてゆくといいなと考えています。 「木の家づくり」に即して考えてみます。かつて住宅は、地場の技術や素材、更に経験から得られた知恵でつくられました。住宅が限られた地域の中でつくられることを踏まえるならば、地場の産業や職人たちとのジョイントは当然の事となります。経済性のみを追求するのであれば、どこからでも安い材料を購入すればすむことだし、簡便な工法もあるし、新建材を用いればよいことになります。しかし、林業から製材・乾燥・建築に至るまで視野に入れて地域にふさわしい住宅をつくるための環境づくりをしなければなりません。 九州の「木の家づくり」は一品生産の<文化>にほかなりません。農産物などでいう「地産地消」のイメージが一番近いかもしれません。九州で産出された素材を加工し、九州の技術・技能を生かして<文化>としての「木の家づくり」を作り出してゆこうとするものです。 宮崎・大分・熊本は全国有数の林産県ですし、今話題の珪藻土は大分県が全国一のシェアを誇っています。福岡・大分には無添加のシックイを生産しているメーカーもあります。和紙は福岡の八女地方や他にも残っているところも多いはずです。柿渋も佐賀で若干生産されています。そのような伝統的素材をとびっきり新しいセンスとデザインで「文化」としての「木の家づくり」を展開してゆこうと思っています。「木の家づくり」という時、反りのある入母屋の瓦屋根のお城のような家や古民家のような重厚な家を想像する人は多いでしょう。私たちは伝統的な素材や伝統的構法を現代の目で見つめ直し、取り入れながらも、その姿は軽快でモダンなものを目指しています。 私たちの先達に、ライト、アルト、吉村順三がいて、同伴者に「土佐派」の人々がいます。尊敬するそのような人々の知恵やセンスや技術や思想やその他モロモロのいろんな事がらを吸収し、ふまえた上での私たちの<普通の家>をつくり出していきたいのです。 |
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