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西村敏彦のほらふき・ドンドン

住まい方を創る
§0.はじめに
 これからのほらドンは『住まい方を創る』と題して、私たちの「住まい方」へのアプローチを考えていきたいと思っています。住まい手はどのように自分たちのくらしをイメージしていくのだろうか?
 例えば、住宅雑誌のグラビアのような‘くらし’、ハウスメーカの展示場のような‘くらし’ってありえるのだろうか。
 色々とくらしていく上では、見た目がキレイで見せるための住空間を造ることはむずかしい。できることならば、本当の生活がいきいきと展開できるニセモノでない住空間を一緒に考えていこうと思います。
§1.何故、片付かないのか?
 私たち日本人のくらし方に特徴的な事が三つある。
 第1に、日本には四季があるということ。春夏秋冬の変化にとんだ四季がある。これに梅雨を入れて五季と呼ぶ人もいるが、日本の気候は変化にとみ、これが生活をうるおしている。衣類の入れ替、寝具の手入れ、扇風機やコタツなど家具設備の出し入れが必要になってくる。
 第2に「和洋折衷」「ハレとケ」があるということ。和食と洋食、和室と洋間、和服と洋服など、つまり「和」と「洋」の二重生活を送っていることである。今日では日常(=「ケ」)は「洋風」の生活を基調とし、儀式的な冠婚葬祭(=「ハレ」)は和式を中心とするのである。田舎に多い例であるが、座敷などの接客空間がのさばっていて、毎日使用するキッチン、食堂、居間などが肩身のせまい思いをしていることがけっこう多い。
 第3に日本人の雑食性にある。和風料理、中華料理、イタリア料理、フランス料理まで作ってしまう。したがって、各料理に使用する食器の数、種類が多くなってしまう。そのための調理器具もそうである。
 かつての日本の住宅での生活の特徴を「ユカ座」様式と呼び、欧米諸国の「イス座」様式と比較してみました。「ユカ座」様式の場合、例えば食事をする時はちゃぶ台をもってきて、「ひろげて」食事を終えたらそれを「かたずける」。一方「イス座」様式の場合、テーブルはしつらえられていて「ダイニングテーブル」で食事する。少しむずかしく、起居(立ったり、座ったり)の動作と「ユカ座」「イス座」を説明してみます。本質的に生活行為は基本的に床面 に依拠している場合と(欧米のように)家具に依拠している場合がある。生活用具が「小型の移動使用」を前提とした可動家具中心の場合と(欧米のように)大型のそこに人が行って使用することを前提とした固定家具がある場合。さらに住宅内の生活空間の機能が全体的に多目的で機能集中している場合と(欧米のように)単一目的で機能分化している場合などの様々な側面 を総合的に捉えたものでなければならない。少し面倒な説明になってしまったが、要するに床面 で「ひろげて」「かたづける」、小物を持ってきては多目的、雑多な行為をするという日本人の体質的な伝統的な住様式が存在するようである。
 戦後から高度成長期にかけての住宅革新の理論はこれであった。タタミの間でちゃぶ台をたたんでフトンを敷くことをやめよう。食事は食事室、寝室は寝室、住宅の機能を明確に分けて秩序正しく住みこなそう(食寝分離)。これはこれで重要な指摘であり、日本の住生活を一定向上させた。しかし、高度成長期にかけてこれに拍車がかかり「先進国・欧米ではソファーやベッドがあり、もっともっと文化的な生活をしている。われわれも家具をたくさん買い込んで、モダンな生活をしよう」ということになってきた。しかし、そんなに家具を買い込むほどに住宅は広くなく、一方で従来からの「ひろげて」「かたづける」様式が綿々と続いていたのである。    次回につづく
 

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