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西村敏彦のほらふき・ドンドン

住まい方を創る 第5回
§4 家族する居間
 今まで流々「ゆらいでいる家族」という事について述べてきました。家族をつないできた「仕事」と「食」という要素が軽くなってきているという事も言いました。「仕事」と「食」これまで家族をつなぎとめていた要素が退場しつつある。それでは何が残っているかというと“子育てを媒介としたコミュニケーション”とでもいうべきものがある。作家の藤原智美氏の表現を借りれば「家族する」という事である。家族を維持するために「家族する」というのは表現として矛盾しているが、つまりこういうことである。小比木啓吾氏が「ホテル家族」という言葉で言うように、個室とフロントでできあがっているような概念の家族のことを表現しているが、「ホテル家族」にならないように家族が意識してコミュニケーションをとること、「演出」とまでは言わないにしても、例えば「共同作業」のようなものを意識的・演出的にやることを「家族する」ことだと定義してみる。
 そのような場として居間を考えてみると、居間の「カタチ」が様々に模索することができる。

EX1)居間の南面を土のタタキの土間にしてみる。日当たりのいい場所であるが、ここに薪ストーブを置いてみる。このストーブの廻にイスが何脚か置かれ、火を見ながらの会話や余熱を使って焼きイモやシチューを作ったりというのも楽しい。上下足の履き替えがメンドウクサイというなら素焼きのタイルなどを土間に貼るといい。近所の人がお茶を飲みにくるという光景が見えてくるともっといい・・・・。

EX2)居間の隅の一角をちょっと凹ませて、書斎コーナー設け壁一面が本棚とする。ここでご主人がパソコンを使ったり、主婦が家計簿をつけたり、子供たちが勉強したりするのである。また、居間に面して開放的な図書コーナーを作れば、本好きな家族なら本を中心にして会話がはずむし、子供たちの友達でにぎやかな居間になるかのしれない。

EX3)音楽が大好きならば居間に面して階段をつくり、二三段上がった所に広い踊り場を設けて、ピアノを置いて居間から一段高いステージのようにする。親しい友人を呼んでファミリーコンサートを行なうのも楽しい。

EX4)居間に面して中庭をとり、ウッドデッキを作りシンボルツリーを1本植える。片隅にはバーベキュープレースを作る。シンボルツリーからハンモックをつり、時にはミニキャンプとしゃれてみる。電気やガスを使わずにローソクや薪を使ってのファミリーキャンプである。バーベキューパーティーというのも容易に開くことができて、居間に続くことにより内と外の両方が使えるというワケ・・・・。

 このように「家族する」というアクションを想定し自分の趣味(家族の趣味)を生かしたアクティビティを入れる器としての居間を考えていけば、機能があいまいな「居間」という空間も生きてくるだろう。
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 「家族する」という事に戻ってみよう。まず「家族」とは何かということである。現代の「家族」とは「一緒に住むことを選んだ人(たち)」が基本ではないか? 例えば、普通の標準家族からはずれたタイプ−ホモセクシャルのカップルでも「一緒に住むことを選んだ」家族と考えてみる。それは外の社会とははっきり分けられ「内」に居る者同士である。「身内」という言葉があるように、同じ空間的「内」を共有することを相互に承認した人間関係を「家族」と考える。家族がゆらいでいる現代において「家族」はこわれやすい一種の契約のようなものと考えられるが、それをあえて選択した人間関係であるといえる。契約である限りいつでも解消できる。つまり夫婦も子がある程度成長すれば親子も別れられる関係になっている。よって現代は少なくても制度としての「イエ」の時代に比べて家族が分解するのに対して、社会的な制裁が少ない。しかし、今の日本の家族にはそのような状況が近代の必然であるという認識がうすいようである。
 新しい「家族」モデルが確立するまで、「子育て」コミュニケーションを主体として「家族する」という事は有効ではないだろうか?
 

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