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西村敏彦のほらふき・ドンドン

NPO九州森林ネットワーク報告 3

林野庁政策担当者の聞く『国産材利用を取りまく国の政策』

国産材利用を推進する理由

 国が国産材利用の推進に力を入れている最大の理由は、京都議定書の温暖化ガス削減の目標達成に向けた取り組みという点にあります。日本の削減目標6%のうち、約3分の2のあたる3.9%を国内の森林による2酸化炭素吸収で見込んでいます。森林吸収を削減量にカウントするためには、その森林が「植栽や間伐など維持のための努力をした森林」であるということが条件になっています。そのために、手入れや管理を適切に行なっている森林面積を増やさなければならないわけです。森林の手入れには,巨額の費用がかかります。ところが、政府全体としては「小さな政府」を目指していることもあり、必要な金額の補助金を確保することはなかなか難しい状況が続いているのが現状です。
 「環境税」の議論に代表されるように「どうやって森林整備のための資金を確保するか」という点が森林吸収を実現するための一番の課題になっています。そこで、市場経済を活用したビジネスモデルをつくり、得られた資金を使って森林を整備するというのが、現在の政策では重要となります。具体的には、主伐材や間伐材などの販売を、持続的なビジネスとして確立。木材の売買を通じて得た消費者の支払い代金を森林所有者に還流することで,森林の手入れをする経費として確保できるようなシステムを作り上げることを目的にしています。

供給量を1.5倍に
 現在、日本の国産材利用量は約1700万?。森林吸収による削減目標を達成するのは,2500万?まで増やさなければならないと試算されています。実に現状の1.5倍に増やす必要があるわけです。しかも期限は2010年までです。厳しいという見方もあるでしょう。ですが、そこには大きなビジネスチャンスが潜んでいるとも言えるわけです。現在の供給量に800万?上乗せするために、住宅や紙など、広い分野で国産材を使ってもらう必要があり、国としても産業体制の整備を含め積極的なPRなど総合的な政策をとっていく方針です。
 木材の利用の大部分は「製材」「パルプ・チップ」「合板」「その他」の4つの分野に分けられます。なかでも国産材マーケットとして最も大きいのが、住宅の柱などの建築部材や家具用に使われる製材用材です。この分野だけで、実に国産材利用の約7割を占めている。したがって、この分野での自給率をどう伸ばしていくかが、国産材利用を促進するうえで非常に重要になっています。
分野別の自給率をみると。製材用木材の自給率はここ30年くらいずっと変わっておらず、だいたい30%の横ばいで推移しています。これはある意味、家にスギ、ヒノキといった国産材を使いたい人の発生確率はそれほど落ちていないとも言えるわけです。ただ、経済状況や世帯数の動向などから見ても、今後大きく新設住宅着工が伸びるとは考えにくい。利用量を増やすには、自給率を上げていくことが必要になってきます。そのためには、消費者の国産材に対する「こだわり」の形成が必要だと考えます。外材と国産材では、モノとしてそれほど違いがあるわけではないので、消費者の意識が変われば十分可能性はあると思います。
ただ、家を買うということは一生の買い物。にもかかわらず。「木の家」まして「国産材の家」との接点は、日常の生活ではあまりありません。また都市部ではマンション居住者が多く、ほとんど木に触れる機会がない子供も多いでしょう。その中で、100円,1000円の製品で「国産材って大事だよね」という意識が持てないと,3000万円以上もする家で国産材を選ぼうという気になりにくい。日用品から始まって、家具、内装、リフォーム−と関心をステップアップしていくことによって、一生に一度の買い物である住宅においても、国産材に結びつくことになると思います。
こうしたことをふまえ、国としてもNGOや消費者団体との連帯を強化しつつ、国産材のよさ、大切さなどを国民運動としてPRしていく「木づかい運動」も重点的に展開しています。

2006年度の事業
 国産材活用に関する政策は大きく2つに分けることができます。1つは、業界対策としての「木材産業の体制整備」。産業としての構造基盤を整備するための木材供給体制の整備や技術開発などです。もう1つが、木材利用の促進を図るためのPRなどを実施していく「木材利用の推進」。
 木材産業の体制整備に向けた取り組みでは,2006年度の新規事業として,川上と川下が連携して施業の集約化、原木の供給体制の整備,製材工場の大型化・協業化などを行うことにより、低コストで品質・性能の確かな製品を安定的に供給できる国産材の加工・流通体制「新生産システム」の構築に取り組むことにしています。他にも,間伐材等の未利用の木質バイオマスの利用促進を図るため、チップ製造施設やバイオマス発電所などの整備費用の一部を助成する事業を民間事業者が活用できるようにしています。
 これらの施策の展開により,国産材利用のビジネスモデルを着実に作り上げていく考えです。
 今月,先月のほらふきドンドンは「新建ハウジング プラス1 2006年1月号」の特集『国産材の使い方』から抜粋しました。

 

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