トップ  コラム 西村敏彦のほらふき・ドンドン 「冷蔵庫」を廻る話
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西村敏彦のほらふき・ドンドン

「冷蔵庫」を廻る話
 建築的には冷蔵庫は作業の流れに沿った配置がよいとされてきた。すなわち勝手口→冷蔵庫→準備台→シンク→コンロ→調理台→配膳台→食卓のフローの中で、冷蔵庫は材料庫として位置づけられてきた。しかし、レストランなどの大量調理場とは異なり、住宅ではこのような能率性の原則よりもむしろ生活上の人の動きに合わせることが現実的である。保冷の他にも加工食品や食べかけのなどの貯蔵としての役割もあるし、冷蔵庫から食卓に直接配膳されるものも少なくないために勝手口や準備台の近くにこだわるよりも、家族全員の使いよい場所にした方が実際的である。
一般的には冷蔵庫の位置は食卓側に引っ張られがちであり、そのようにだんらん側に近づくにつれて、その性能やデザインなどにも高度な要求に耐えられるものでなければならなくなっている。
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 冬でも暖かい最近の住宅では適当な食品の保存場所がなくなってきたので、冷蔵庫が唯一の収納場所になっていることも多い。一般の家庭の食品保有数はざっと300点くらいあると言われている。それらがぎゅうぎゅう詰めに冷蔵庫に集中すれば、当然冷蔵庫内の環境は悪化する。その結果庫内の温度は上昇し、かえって食品を腐らせることになる。冷蔵庫が食品の保存から廃棄の一定期間をただ蓄えるだけに使われ、結局冷蔵庫が小さいという不満がでてくる。冷蔵庫には雑菌もいるし、食物による汚れや臭いもあり、思いのほか汚染されている。冷蔵庫の能力の限界を知ることが大切である。
漬物や野菜の収納、調味料、乾物、缶詰などは冷暗所保存がふさわしい。また時にはたくさん買った果物や贈答品が普段の収納状態を超える場合がある。それらに対しても冷暗所があるとキッチンにおける冷蔵庫の本来の機能を邪魔せずに、食品を大切に丁寧に扱うことができる。住宅の設備が向上するにつれて、家の中から冷暗所がなくなり、適材適所の保存が難しくなってきている。省エネや環境保護の立場から冷やす無駄を省き、食品への配慮を促すにも冷暗所をつくる意義は大きい。
 最近、床下収納の人気がないが(腰をかがむ姿勢が苦しいためか・・・?掃除がしにくいためか・・・?)わが『もりの家』は床下が高いので、床下収納を積極的に使う手もあります!!
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 最近の多機能冷蔵庫ではドア別の温度設定ではあるが、野菜の低温障害についてはあまり知られていない。きゅうり・なすでは10℃以下の保存では変色したり、表面にくぼみが生じる。なすは艶がなくなり、しわができ見るからに変質が激しいことが分かる。未熟なトマトでは13℃以下で障害が起きるので冷蔵には不適といえる。また、ひね生姜も常温保存が一般的である。食べる時期と保冷期間は細かな配慮が必要であることはいうまでもない。
 カビ、細菌などの微生物は冷蔵庫程度の低温状態(5〜10℃)でも活発である。これらが腐敗や発酵をすすめ、特有の臭いを発生させる。プラスチック製の内部の棚やトレーは食用油に弱い。容器からこぼれた油は表面を傷め、ひび割れを起こす原因ともなる。こまめな清掃で庫内の衛生状態を維持する努力がなければ、冷蔵庫は上手に使えない。
 必要なものが乱れなく、豊かに蓄えられている状態は最も快い。詰め過ぎやガランとした状態は食生活の不毛が感じられる。過密冷蔵庫の持ち主は豊かさと貧困が同居しているようであるし、過疎冷蔵庫の持ち主は食事が極端に単純であると想像してしまう。
 

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