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野池政宏のこらこらコラム

「食べ物に関する問題は安全性だけか?」
 食べ物のことで何がいちばん問題だと思うか?
 いまの時期なら「狂牛病」「中国野菜」「偽装ラベル」あたりのことを挙げる人が多いだろうか。「買ってはいけない」からとくに意識が一般 の人にも広がってきた化学物質問題(農薬や添加物)を挙げる人も多いだろう。中国野菜はこのあたりの話でもある。どちらにしろ、これらすべては「食の安全性」に関する話である。

 食べ物に関して「安全性」だけを問題だと思っていていいのだろうか?  僕はこれは「NO」だと思う。それよりももっと基本的なところにある「食べ物が得られるかどうか」ということを忘れてはいけないと思う。もちろん食の安全性がテーマとなる日本という国に生まれた幸せに感謝すべきだろうが、食べ物がずっと確保できるというのはずっと日本では戦争が起きないということと同じように幻想だと思ったほうがよい。

 食べ物を確保する基本は、食べ物の生産地をできるだけ近くに置くことにある。もっとも確実なのは自分でつくることだ。しかしこれは現実的ではない。現実的にできる手段のひとつが「自給率を上げる」ということになる。様々な情報の中で、日本の食物の自給率について問題にしているものは少ない。「もし戦争が起きれば経済封鎖が起きて」というような極端な話をいますぐに伝えようとしているのではない。本当にそうなれば、こうして悠長に文章を書いている暇はないし(つまり他人のことを考えている暇はない)、また僕はそうなってもうまく楽しく生きていく自信がある。  僕が言いたいのは「食の問題は安全性だけだと考えるのは間違っている」ということと、「お金は有限であり、その使い道は限られている」というところにある。
2つ目のことはこれだけでは訳がわからないだろうから説明しよう。

 食の安全性を確保する。自給率を上げる。このどちらも国の施策が大きく影響する。もし今後も極端に食の安全性のことばかりが世論として大きくなると、世論を無視できない政府(代議士)はそちらにお金をかけることになる。僕はこれは賢明ではないと強く思う。  もちろん実際の日々の買い物の現場で「有機野菜を買う」ということは直接世論になるわけではない。しかし自給率が減少していく状況の中で、さらに収入が減っていこうとする経済状況の中で、このまま進めば「海外から安い有機野菜を買うのがうれしくてタダシイ」ということになっていく(ユニクロ野菜はまさしくこんな感じですね)。中国を生産地として見ることができるのはもう少しの間だろう。しばらくすれば中国は大量 の食料輸入国になるだろう。  つまり「地元の有機野菜を少々高くても買う」というのが一応タダシイ。これが自給率確保と安全性確保を両立できそうなことだから。でもこれだけではまず間違いなく自給率は上がっていかない。

  どういう施策が出てくるのかはわからないが、「安全な食べ物を」という声と一緒に「自給率を上げてよ」と静かに叫び続けるべきなのである。
 

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