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野池政宏のこらこらコラム
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| 「我々は合成化学物質とうまくつきあえるのか?」第2回 |
| 前回の続きを書く前にちょっとトピックスを。 この9月20日、朝日新聞の「私の視点」欄に、有機JAS認定機関である「OCIAジャパン」社長の鈴木由子さんが「有機栽培の目標は無農薬=安全」ではない、というような主張をされていた。この主張は僕がいつかこの連載に書いていたこととまったく同じである。うれしい。こういう人やこういう主張がどんどん出てくることを祈りたい。 さて、続きにいこう。前回から合成化学物質の功罪について考えてきている。 石油はその多くがエネルギー利用、つまり火力発電や工場などの燃料源に使われているそうだが、もちろん、だからといって合成化学物質の原料問題がないという話にはならない。いつかは合成化学物質原料としての石油はなくなり、合成化学物質をたくさん使うほど石油は早く枯渇する。石油が枯渇することの怖さは、何より石油の奪い合いによって戦争や紛争が起きることである。これまでも石油が原因になって起きた戦争、紛争は大挙にいとまがない。さらに石油の枯渇が現実味を帯びれば、ひどいことになる。 また、石油に替わる合成化学物質原料が見つかったとしても、おそらく石油よりも原料コストはかなり上がる。この移行がスムースであればよいが、そうでなければどこかに大きな“きしみ”が生じるだろう。 ところで、合成化学物質の原料は石油だけに限られるのではない。石炭や天然ガス、さらには木材なども原料となりうる。合成化学物質は有機化合物であり、原料は有機物であればよいのだ。ただ石油が様々な意味で合成化学物質の原料として優れているからよく使われているわけだ。 合成樹脂、いわゆるプラスチックも木材などの生物材料からつくることができる。こういうものは「バイオプラスチック」などと呼ばれる。以前は「生分解性プラスチック」という言葉がよく使われてきたが、どちらかというと「土に還る」という意味あいが強かった。前回にも書いたように、土に還る材料というのは環境的にあまり意味がなく、それよりも、石油以外の「循環型資源(植物資源など)」からつくることができるプラスチックという意味を出すために「バイオプラスチック」に呼び方が変わってきている。 合成樹脂の製造エネルギーは大きい。アルミニウムなどに比べれば小さいが、いわゆる自然素材よりは大きい。そしていまのところ「製造エネルギーが大きい=石油枯渇につながる=二酸化炭素排出につながる」という図式になっている。 頭を整理していただくために話を整理しよう。 いまのエネルギー源の多くは石油である。わが国の電力は原発に頼っている部分が大きいが、やはり全体のエネルギー源としては石油に頼っているのが現状である。そして石油を燃やせば二酸化炭素が出る。もし、エネルギー源として太陽や風力が主流になってくれば、製造エネルギーが大きいことは石油枯渇につながらないし、二酸化炭素排出にもつながらない。 もちろん、今後は自然エネルギー社会になるだろうからといって省エネルギーを考えないのはおかしい。自然エネルギーは効率が悪く、自然エネルギーがうまく利用できない地域もある。「省エネを考えながら、自然エネルギー社会を目指す」というのが正しい。 また、バイオプラスチックが今後普及できるかどうかは、その製造エネルギーの大きさによる。いくら石油以外の循環型資源を使っても、それを製造するときにエネルギーをたくさん使う、つまり石油をたくさん使うことになれば、環境にやさしい素材であるとは言えない。これからの素材は原料が循環型のものであるとともに、製造エネルギーやリサイクル時のエネルギーが大きくないものであるべきである、というのが結論である。そういう意味で合成化学物質(合成樹脂)というのはなかなか前途多難である。 さて、ようやく合成化学物質について全体を眺めることができた。おそらく近未来の「合成化学物質のある暮らし」というのは次のようなものだろう(個人的な希望も少し入ってるけど)。これを前提にして、いま私たちがどういう選択をすべきか、ということはみんなで考えていくしかない。まあ、間違いのない結論は「合成化学物質じゃないとダメなもの以外はシンプルで身近な循環型素材を使う」ということになる。 ■医薬品 日常的に使う薬(風邪薬や傷薬など)は植物そのものをうまく活用する。レベルの高い効能が要求されるものは合成化学物質で。 ■自動車 素材に大きな変化はないだろう。燃費向上が何より重視され、ハイブリッドから燃料電池へ。 ■パソコン リサイクルしやすい構造、プラスチック。うまくいけばバイオプラスチックへ。広い意味での耐久性を何より重視。OSなどにも変化があるだろう。 ■家電 耐久性と省エネ重視。素材はプラスチックと金属しかありえない。 ■家具 循環型の自然素材で。何代にもわたって使えるもの。 ■家 リサイクルできないものは使えない。求められる性能によって厳しく素材や設備は選ばれる。省エネ、耐久性重視、太陽エネルギー利用が進む。内装材はシンプルな自然素材へ。合成樹脂は水、電気などの設備関係にのみ残る。 ■容器、包装 リユースは進むが、リサイクルを極限まで考えた金属、プラスチック、紙が中心になるだろう。食品が昔のように「そのまま売られている」状況は進むが、100%にはならないだろう。 ■食べ物 これがいちばん難しい。ハイテク農業と有機農業のまっぷたつに分かれそう。魚は養殖化に進むしかないだろう。どちらにしろ、大きな決断に迫られるときがくる。その決断の中には「合成化学物質」に対するテーマも、当然ある。 |
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