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野池政宏のこらこらコラム
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| 「B級的自然住宅のススメ」第10回 |
| 何回か前から現実とフィクション(もし私が家を建てるなら)がごちゃごちゃになってきている。まずこのへんを整理しよう。 前回書いたように我が家のCO2排出量 を調べたのは「現実」。そしてその量が目標値を達成していたのも「現実」。でもこの現実は「いま住んでいる中古住宅」においての話。でもフィクションを書き始めるにあたって、「もし私が家を建てるなら」と考えた時点で私がどんな家に住んでいるか(いたか)を決めていない。で、強引に「いまの中古住宅に住んでいる(住んでいた)私が新築するなら」という仮定で話を進めようと思う。読者の方々にはどうでもいい話だろうが、このへんのつじつまがとても気になる性格なので確認させてもらった。 さてフィクションを続けよう。 いまの暮らしでCO2排出量 は多くない。確かに冬はとても寒いし、夏は暑いが、我慢できないことはない。高断熱・高気密を推薦する本には「家の中が寒いと行動力や生産力が落ちる」なんて書いてあったりするけれど、「野池は生産力が低い」という評価を受けるとは思えない。少なくとも日本人の平均よりは生産性は高いと思う。 でも、いまの寒さや暑さに満足しているかと聞かれれば、正直に言って「満足はしていない」と答えるしかない。ただし、「じゃあどの程度になれば満足するのか?」という自問には答えられない。 家の寒さ暑さをテーマとする本のほとんどには「高断熱・高気密住宅が快適で健康的で家も長持ちするし、省エネにもなる」というようなことが書いてある。でもなんだかいまの暮らしからジャンプしすぎてイメージがわかない。逆に自然住宅系の本には「ある程度寒くて暑くないと子供の健康に悪い」なんて書いてあるけど、そもそも子供は外で遊ぶものだから、そんな理屈はこじつけだと思う。子供を外で遊ばせない親なら話は別 になってくるかもしれないけど、そんな親が「自然住宅」を指向するなんて変。 こんなふうにいろいろ考えて、結局のところは「いまの平均的な断熱・気密でいいや」となるだろう。でもそう考えてもさらに私の悩みは深くなっていく。というのは、「平均的な断熱、気密」というのがわかったとしても、とくに気密性についてそれを実現してくれるつくり手がいそうにないことがまずひとつ。高気密をやっているところは「平均的な気密性」を実現してくれそうにないし、高気密をやっていないところはそもそも気密性をコントロールするノウハウがない。 それから。平均的な断熱・気密にしたとして、それにはどんな問題点があって、それを解決するにはどうすればよいか、という情報がないこと。当たり前だけど高断熱・高気密の本は「いまの普通 の断熱や気密じゃダメ」と書いてある。自然住宅系の本にはその手の技術論や住まい方論がほとんど書いてない。これは断熱や気密に限った話ではない。いまの状況は「普通 の家にしたときにどんなリスクがあって、それをどの程度覚悟すべきか。またそれを回避するにはどんな段階的な工夫があるか」というような情報がないのだ。 ここで少し技術的な話に移るがお許しいただきたい。断熱や気密を追いかけていくと、リスクに関する最大の関心事は「内部結露(壁や屋根の内部で起きる結露)」であることがわかる。快適性や健康性や省エネ、窓ガラスの結露なんていうことはどうにでもなるという印象を受ける。でも「見えない内部結露」の話は脅されると怖い。「外張り断熱にして、外壁通 気だけじゃなく壁の内部に空気を通さないと内部結露して家が腐る」なんて言われたら「うーん、そういうものか」と思ってしまう。こういう主張に対して「普通 の家」をつくっているところからの「いや、こうやれば大丈夫」という反論や情報がないから、一度そんな脅しを受けると、頭の中からそれが離れなくなってしまう。 はてさてどうしたものか。「平均的な断熱や気密でいいや」と考えた私。そしてそのリスクを追いかけていった私。でもとくに内部結露について本を読んだりインターネットで調べたりするレベルではその解決策が出なかった私。 ここでひとつの選択は「断熱材を入れない」というもの。断熱材を入れるから内部結露が起きる、と本には書いてあるし、その理屈は簡単なので理解できる。「いまの無断熱の家でも我慢できてるし、CO2排出量 も少ないからこれで行くべ」という判断。 次の方向は「研究者の論文レベルの情報を読みこなしてどうするかを決める」というもの。でもこんなの仕事でやるわけじゃないから無理。どうせ深いところはわからないし(ちなみに仕事でこのへんを追いかけている「現実」の私は理解しているつもり)。 次の選択は、なんと「内部結露を確認できるようにしておく」というもの。こういう判断をするには相当な知恵と論理思考が必要になるけど、きっと私の思考パターンならここに至るのではないか、ということで挙げた。今回はここでオシマイ。 |
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