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野池政宏のこらこらコラム

「B級的自然住宅のススメ」第12回
 いまこれを書いているのは10月4日。今月はなんだかとても忙しい。
岐阜県立森林文化アカデミーの講義を含めると、なんと15回も講演や講座がある。それに「建築技術」という専門誌からの原稿依頼が1本。そして「住む」という季刊誌の連載がこの冬号から始まることになったので、その原稿書きもしなくちゃいけない。
 建築技術に書くのは「家の呼吸」の話。まさしくここで続いている「内部結露」というテーマにも関わりがある内容だ。
 そんな中、一生懸命本を読んでいる。今日読み終えたのは中西準子さんという環境リスクの研究者が出した「環境リスク学」という本。おもしろいし感動もした。シロウトでもわかる内容だからお薦めしたい。この連載の内容、つまり私の考え方にも深いつながりがある。その前に読み終えたのは「エコロジカルフットプリント」。これもおもしろかった。同じことを何度も言っていて、そのへんがちょっとしつこかったけれど。 さてさて、内部結露は怖い。その怖さは「見えないところで起きる」ということだった。だから「高性能の家づくり」をアピールしているところは「ここまでしなくちゃダメ」と言っている。そしてその内容は私には「ちょっと脅し過ぎているんじゃない」という感じのもの。あ、そうそう。もうすでにこの文章は「私が家を建てるなら」という仮定の話になっている。つまりそういう状況にある「私」にとって、内部結露の情報が「ちょっと脅し過ぎているんじゃない」という印象を持つものだろうということだ。
 で、前々回に書いたのが「内部結露が確認できるところをつくっておく」という私の対応策だった。これはこういうことだ。
 内部結露問題は内外の温度差が激しい北海道で大きな問題になったもの。だから私が家を建てると仮定している大阪は北海道に比べてかなり内部結露が起きるリスクは小さい。でも、そのリスクはゼロではないことは間違いない。そこでいろんな人がいろんな対策を提案している。その内容を詳しく説明するのはこの連載の主旨ではないからやめるけど、まあ「ちょっとした工夫」みたいなものもある。で、私はその「ちょっとした工夫」で十分に大阪でのリスクを減らすことができると思うわけだ。でも、本当にそれで十分かどうかはわからない。それは誰にもわからない。
 そうなれば、対処する方法としては「内部結露が起きていることをなるべく早く発見する」ということしかない、という結論になる。早く発見できれば、それだけ早く対策が打てるというわけだ。対策といっても別に壁をひっぺがして張り替えることしかないわけではない。壁の内部の湿度を減らすということが対策のひとつとしてあるから、たとえば「お風呂に入ったときにさらにその湿気を外に出すように注意する」とか「水蒸気が発生しない暖房の方法に変える」とか、いろいろある。こういう工夫をしてさらに内部結露の状況を見る。そしてどうしようもなければ、本格的な家の改善策を考える。
 こうした方法が、総合的に考えて「もっとも合理的」だと思うわけだ。完璧な家などない。だから時代によっていろんな問題が浮き彫りになってくる。その問題を知ることはとても大切なことであることは間違いない。そこで、住宅提供者は「家という箱で何とかしておく」という提案をするのが常だ。でも、家を建てようと思う人が「箱で対処するしか方法がない」と考えるのは間違っている。つまり「問題を知る」→「住宅提供者や専門家の意見を聞く」→「自分の暮らしや知恵でなんとかならないかを考えてみる」→「プロの意見と自分の考えとの両方のバランスで出てきた結論を採用する」という考え方の流れが正しい。
 というわけで、私は「内部結露対策としてはそれが確認できるところをつくっておく」という結論になる。これは決して突飛な発想ではない。たとえば、床下の問題は「床下を定期的に点検しておく」という発想で対処するのが正しいのと同じこと。
 さらに言えば、こうした「住まい手ができる工夫」をうまく提案してくれるつくり手を評価すべきだということになる。箱だけで完璧な家になるのは幻想に過ぎない。そういうアピールをしているところはある意味「嘘をついている」と言えるだろう。
 

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