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野池政宏のこらこらコラム
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| 「環境主義住宅を解く」第44回 |
| 前回にもご紹介した「環境問題嘘本」。これまで買ったことはなく、立ち読みだけだったが、ついに購入した。その書名は『偽善エコロジー』。著者は「嘘本」をたくさん出してオピニオンリーダーになっている武田邦彦氏。氏は東大を出て、名古屋大学の教授も勤めた工学博士だ。 正気で書いていない本をマトモに評論するのはとても空しい。だから、例えば「偽善エコロジーは買うな」みたいな本を出すマトモな人はいない。でもそうやって放っておくと、どんどん図に乗って本が出てしまう。それはとても良くないことだ。 この本を買ったときは、「きちんと論評しよう」と思っていた。しかし読み進めていくうちにそれがむなしくなった。そんなふうにきちんと取り組まなくても、ここで展開されている論理がむちゃくちゃなことは誰でもわかるからだ。「理科」を持ち出すまでもない。 そう思ったが、念のためにアマゾンの講評を見てみた。ここでみんなが酷評していれば、ここで取り上げることもない。 しかし、残念ながらそうではなかった。批判的なコメントもあるものの、「言いにくいことを発言している勇気を評価」とか「別の視点で見ることの大切さがわかった」というような意見がかなりある。何ということだ…。 この本の最大の問題点は、その行動がエコかどうかを取り上げているテーマ(たとえば「レジ袋を使わない」「冷房28℃の設定で温暖化防止」)に対する武田氏のコメントが、そのテーマとは違う方向や論理に進んでいること。 それぞれのテーマには「ただのエゴ」とか「意味なし」とかという「判定」がある。なぜそういう判定になっているのかと思って読み進んでいっても、それにマトモに答えている項目がほとんどない。いつのまにか違う話に展開しているのだ。つまり論理のすり替えが行われている。 こうしたすり替えはよくあることだが、そのすり替えが巧妙な場合もあり、そのすり替えを論破するのがなかなか難しいことがある。しかし、この本のすり替えは「誰にでもわかること」で、ここまでひどければこの本を評価しようとする人はごく少数に限られると思ったわけだ。 さらに、その「判定」の根拠や解説の流れの中にも「めちゃくちゃな論理」「勝手な決めつけ」「単純な間違い」がたくさんある。 たとえば「冷房28℃の設定で温暖化防止」のところ。その冒頭には氏のところにかかってきた高校生からの電話の内容が取り上げられているが、それは冷房とはまったく関係のないダイオキシンの話。そこではダイオキシンのことを大袈裟に取り上げていた大人や社会を信用してしまった高校生を「被害者」と決め付けている。そして次には別の受験生からの電話のことで、その受験生は「28℃設定にしていると勉強に身が入らない。25℃にしたいけど温暖化は大丈夫か?」というようなことを言ったらしく、それに対し武田氏は「愕然とした」と書いた上で、「どうして大人はこれほどの嘘をつくのか!」と絶句したと書いている。 そこまで読めば、読むほうは「なぜ嘘とまで言い切るのか?その理由は?」と思うし、「きっとその後はその理由が書いてあるんだろう」と期待して読み進む。でも、その次に書いているのは「大人は2重人格」「電力が使われなくても電力会社は儲かる仕組みになっている」「とくにテレビ局の2重人格性はひどい」ということだけ。そして最後の締めくくりの言葉は「子供に嘘を言わない大人になりたいと思います」。 ただこの内容には「一応の流れ」があって、この項目の前には「CO2排出削減の努力をしても温暖化は防げない」と断言しているので、それが「本当」で、防げるという主張を「嘘」として論理を進めているつもりなのだろう。そのCO2の項目については、あまりにひどい内容で、書けば気分が悪くなりそうなので書かない。 こんな本を評価している人がたくさんいるこの世の中は、悲しい。 |
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