| トップ |
| 街に森を創る・心に緑を育む! |
| 私たちの造る「もりの家」はエコハウス(自然住宅)です。環境活性化住宅でも、健康住宅でも、自然素材住宅でもありません。 私たちは、自然住宅を「再生可能な天然資源をできる限りそのまま使い、廃棄する時も環境負荷が少なく、生活することで病気にならず、我が国の自然環境に合った長持ちする住宅」と定義してきました。具体的に以下のような基本方針を定め、家づくりを「運動」としておこなってきました。 |
| 1. 化学物質の使用を極力抑え、室内空気汚染を最小限にとどめた住宅 |
| 2. カビ・ダニが発生しにくい構法を取り入れた住宅 |
| 3. 気候風土や立地条件を考慮した住宅 |
| 4. 耐久性・耐震性・断熱性を考慮した住宅 |
| 5. 廃棄された時、環境に悪影響を及ぼしにくい住宅 |
| 6. なるべく国産材(後背地の山でとれた木材)を使用した住宅 |
| 先に述べた自然住宅の定義を要約すれば、「室内環境、地域環境、地球環境を悪化させず、自然と共生していける住宅」と考えられます。こうした“環境をキーワードにした理想的な住宅”に一歩でも近づいた住宅を世の中に広げていく運動が「自然住宅運動」であると私たちは考えます。 |
| 私たちは2003年初春、もう一度「自然住宅運動」というものの根本を見つめ直すとともに再考してみたいと思います。 |
| 1 運動の主体者 |
| 理想として住み手(施主)とつくり手(私たち)が一緒になってこの運動を展開すべきです。しかし、現実にはそうなっておらず、つくり手が引っ張っている形がほとんどです。ここで自然住宅運動がもっている特徴を挙げてみたいと思います。 |
| ●住まいを手に入れるという行為は非日常的(非連続的)なものであること |
| ●環境をテーマにした運動だが、直接自然環境を守る運動ではないということ |
| ●ほとんどの住み手にとって、住まいにかけるお金が非常に大きいということ |
| ●そうした消費行動に直接関わる運動であること |
| これらの特徴から、自然住宅運動が住み手主体の運動になりにくいことがわかるとともに、つくり手が主体となって展開していく上でも様々な課題が存在していることがわかると思います。平たく言うと、住み手が家を建てるというのは、たいていの場合、一生に一度の経験でありその期間は限られています。どのような家をつくり、どのような暮らし方をしていくのかということは、環境(森林保全・エネルギー・廃棄時の問題等)に大きな影響を与えます。しかし、家づくりと環境の問題は直接には見えにくく、マスメディアやつくり手(ハウスメーカーや工務店)からの情報はつくり手に都合の良い一方的な情報ばかりで、住む手が意識し行動をおこさなければとてもわかりづらい状況です。また、ほとんどの住み手にとって予算は限られており、自然住宅は高い、手が届かないものだとあきらめている現実があると思います。 |
| 2 つくり手(私たち)がとらえる自然住宅運動 |
| つくり手が展開できる自然住宅運動は2つあります。ひとつは自らの仕事の中で(実際に住まいを提供するという経済行動の中で)展開していくもの。もうひとつは仕事以外での部分での展開です。 私たちが自然住宅を提唱した当時(1997年)は、建築材料ひとつをとっても、安全性や環境に与える負荷などの情報が整理されておらず、手探り状態での家づくりで、そういう状況の中で、私たちが理想とする自然住宅に近づくための課題を整理してきました。後で具体的に述べますが、自然住宅の核となる材料・温熱環境・耐久性・シックハウス対策等の課題です。課題の整理がついてきた今、仕事以外での外部に向けた運動の必要性を強く感じています。 一昨年の12月「NPO緑の列島ネットワーク九州連絡会議」を発起人の一人として立ち上げました。「エコロジー」関係のグループの方や研究者、建築家、活動家の人々の「思い」が結集した成果です。1997年の上津江村のトライウッドとの出会い、産地直送型の家づくりによりコストダウンを実現できました。筑後川を軸とした流域における家づくりを考えた時、上流の上津江村の木をたくさん使って、中流下流の街に「木の家」をつくることで「街の中に家を造る」というイメージも生まれました。木材を産直することにより生まれた森との関わりの中でより鮮明に問題点が見えてきました。 |
| 1. | 世界に類を見ない国土の森林率にもかかわらず2割を下回るという自給率 |
| 2. | 自然林の乱伐がアジアの熱帯雨林からロシアの亜寒帯林へ広がっていき、地球温暖化を促進している。 |
| 3. | 安い外材のために国産材が売れなくなり、特に人工林の手入れ不足からくる公益的機能(例えば森の保水力の低下)の低下 |
| の3点です。これらと「木の家づくり」を結んで、森の利用と再生システムの構築が21世紀を循環型社会にするための課題となってきています。 例えば、国産材利用の「木の家づくり」が活発になってくると、人工林の木が40〜50年サイクルで切りだされ、木の苗が植林される。そうすれば若木が二酸化炭素を定着させていく。この循環の連鎖が地球環境に寄与していきます。「NPO緑の列島ネットワーク九州連絡会議」では「近くの山の木で家をつくる運動」を展開しています。また、九大の先生、院生、林業関係者、建築関係者、現場の先生が一緒になって、未来の消費者である子供たちのための「切り株」を使った環境教育プログラム作成に取り組んでいます。 昨年10月より久留米市の小学校の協力を得てパイロット事業をおこないました。11月のまとめの時間では、子供たちが書いたレポートの発表会が行なわれたのですが、私たちが想像していた以上の内容で、子供たちの感性と理解力には驚かされました。子供たちが変われば、大人も変わっていく、そうすれば社会も変わっていくとの思いを強くしました。環境教育プログラムには切り株を教材として使うことにより、森へお金を還元し、森の再生をおこなうというもうひとつの目的があります。そのシステムづくりとたくさんの教育現場で採用されるプログラムづくりが今後の課題として残っており、今後も事業を継続していきます。 |
|
| 3 “純度”の高さ |
| 自然住宅運動を展開していく中で、常に純度の高さということが問題になります。定義された自然住宅により近いものを“純度が高い”とすれば、運動においては純度が高いものを評価する傾向が強くなりがちです。ただし、現実的には純度が高いものほどコストアップにつながるために実現する数は少なくなります。 私たちはこう考えています。住み手の家づくりの予算は個別的で、家づくりの条件もそれぞれ違います。であるならば、与えられた予算と条件の中で「実現可能の範囲で最高の純度」の家づくりをすればよいと。ただ現実的には「実現可能の範囲で最高の純度」の設定がとても難しいという課題があります。そのためには、つくり手の知識と技術が必要です。予算が十分にあるならば純度の高い自然住宅をつくることは難しくありません。限られた予算の中で純度の高い自然住宅をつくっていくことが、私たちの存在意義であると考えています。 |
| 自然住宅運動を展開していく上で必要となる、材料・温熱環境・耐久性・シックハウス対策について具体的に述べていきたいと思います。 |
| 1材料 |
| 材料は「室内環境」と「材料の製造時及び廃棄時の環境問題」に関わるものです。こうした内容に問題が少ないと考えられるものを整理して課題とともに述べます。大切なのはLCA(ライフサイクルアセスメント)を理解し、独善的な「環境にやさしい住宅」にならないことです。 |
| 1 木造軸組住宅にする | |
| 2 国産の木がベターだが、継続可能な林産地でなければ意味がない 国産材の利点がいくつも挙げられるが、焦点は「国内林業を継続させるべき」というところであると思います。 |
|
| 3 内装はシンプルな自然素材を使う 複合化された内装材の目的は「均一化」「変形が少ない」「汚れや傷がつきにくくメンテナンスしやすい」というところにあり、これらの点で不利な“シンプルな自然素材”を使っていくには住み手の理解が必要です。 |
|
| 4 外側に向かって「耐久性」を重視して材料を選ぶ 家の外側に向かうほど環境負荷という面で「耐久性」が“効いてきます”。例えば、外壁の仕上げ材は自然素材にこだわるよりも耐久性にこだわる方が環境負荷は小さくなる。 |
|
| 5 内装と外壁の間にある材料はバランスで考える 具体的には「化学物質」「断熱性」「構造的強度」「耐久性」などです。このバランスのとり方が難しく、つくり手の能力が発揮されます。 |
|
| 6 床下は薬剤に頼らない「管理」という考え方をする 床下の薬剤の問題(薬剤による健康影響と耐久性)は定期点検ですべてが解決されます。 |
| 2温熱環境 |
| 自然住宅に向かう家を考えるとき、温熱環境を無視することはできません。自然住宅は決して自然素材住宅ではありません。 |
| 1少なくてもCO2排出に関しては材料に関わるものよりも生活時に使うエネルギーの影響が大きい | |
| 2省エネ住宅になるかどうかは最終的に住み手にかかっている | |
| 3住み手のリサーチが不可能 | |
| 4地域型の住まいを考える | |
| 5温熱環境の設計のよりどころはQ値である | |
| 6暖房設備の選択肢を増やす | |
| 7 蓄熱性が今後の大きなテーマ 内装や下地材に自然素材を多用する家づくりにとって、例えば「厚い板」+「暖房設備」の蓄熱性について研究など、これからのテーマと考えています。 |
|
| 8 原発の問題を忘れない CO2の排出とともに、電力に頼らないエネルギーを求めていく必要がある。 |
| 3耐久性 |
| 耐久性は「社会的なもの」「物理的なもの」に分けられます。住宅が解体される主たる原因は社会的影響が大きいといわれていますが、今後は変わっていくと考えています。「社会的耐久性」と「物理的耐久性」の両者を満足させる設計が必要だと考えています。 |
| 1雨水の浸入 | |
| 2床下の問題 | |
| 3内部結露 | |
| 4 内装材 シンプルな自然素材は社会的耐久性、物理的耐久性においても優れています。 |
|
| 5社会的な耐久性 愛着のもてる住まい、住み続けることで理解される設計を目指します。 |
|
| 6 リフォーム 様々な理由によって今後ますますリフォームが増えてくると思います。リフォームを自然住宅運動として捉え、エコロジーなリフォームをおこないます。 |
| 4 シックハウス対策 |
| シックハウス対策は建材選びが基本です。ここでは次の条件での具体的内容を簡単に述べます。 |
| ●健康な人に健康被害を与える可能性が極めて低いもの | |
| ●計画的な全体換気を考えない |
| 1 床 無垢板を使う。塗装は自然塗料の中から住み手と一緒に選ぶ。タイル系のものは接着剤に注意する。 |
|
| 2壁 合成樹脂の含有量が多くない左官材料および無垢材を中心とする。次の.選択肢は自然素材系の壁紙。 |
|
| 3天井 無垢系のものをまず考える。洋室の場合は自然素材系の壁紙。無機質系(石膏ボードなど)。 |
|
| 4壁の下地 合板は避ける。無機質系(石膏ボード)は問題なし。 |
|
| 5家具 無垢材を使う。できるだけ合板を少なくする。 |
|
| 6 室内建具 合板を使ったフラッシュをできるだけ少なくする。合板を使う場合は面積をよく考え、FC0を使う。 |
|
| 7断熱材 自然素材系のものにしておくのが無難だが、グラスウールやロックウールを神経質に考える必要もない。避けなければいけないのは、樹脂系断熱材を使い気密シートを使わないこと。 |
|
| 8外壁側の構造用合板 神経質に考えることはない、とくに通気層を設ける場合は問題ありません。 |
|
| 9外壁仕上げ材 リフォーム以外は溶剤系塗料を含めて何でもよい。 |
| 最後に |
| 私たちが住み手と共につくる「もりの家」は“性能が明確で、シンプルな自然素材を多用し、全体としてもシンプルさを追求した住宅”です。私たちは住む手との関係が非常に大事だと考えています。計画時・施工時を通して、住宅性能を住み手にきちんと説明することと引渡し後も住まい方の情報をきちんと出していきたいと思っています。 自然住宅運動を展開していく上では、住宅性能に対する知識と経験が必須だと思います。つまりこうした運動に関心のないつくり手よりも住宅性能に対する知識と経験が必要だということです。 |
Copyright
(C) 2006 西村工務店 記事の無断転用を禁じます。
Copyright (C) 2006 nishimura koumuten All Rights Reserved. |