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―建築士のつぶやき― M 邸
 建築家の泉幸甫氏は『チルチンびとNo.17の「住まいのつくり手からの提言5」』で≪家づくりは「あんな感じ」がちょうどいい≫と題してこんな風に書いています。「家を建てる人が百人いれば百様の要望がある。夢の住宅をしかも大金をはたいてつくるのだから要求は細かくなることもある。しかし、建築家の視点から見ると必ずしもうるさく言えばよいものが出来るとは限らない。「あんな感じ」というざっくりした要望がよい家をつくる場合だってある。建築家はプロとして施主の要望をまとめていかなければならないが、あまりに細かすぎると・・・
(中略)・・・ある一つのイメージで全体をまとめにくくなってしまうものである。」
 私たちは「木の家づくり」の原点は施主(オーナー)との細かい打合せにあると思っています。大体半年間ぐらいの設計期間を経て、施工期間にも半年間をかけて「わが子のように手塩にかけて」つくりあげてゆきます。
 そのベースにあるのは、発注者(オーナー)と受注者(業者)という関係でなく、フラットな人間関係に基づくフランクな対話であろうと思っています。しかしながら、施主(オーナー)の家に対する夢と建築のプロとしてのコモンセンスやこだわりがぶつかることが度々あります。価値観の相剋の中からよりよきものが型として結実してゆくのだと信じつつ、毎回その折り合いの付け方には苦しみます。それが楽しみであるのかも知れません。型として結実した私たちの「木の家」が語ってくれています。
 どうぞ耳をかたむけてください。
M 邸の見どころ
☆温熱環境に配慮し、ペアガラスや断熱材は次世代省エネ基準をクリヤー
(気密性はあえてとっていません)
・ガルバニューム鋼鈑の壁材の素材感を生かした幾何学的外観デザインと色使い
・ソーラー湯たんぽ床暖房の心地よさ
・お湯による輻射式の暖房設備の採用による吹抜けのある空間
・玄関から続く土間に設けられたご主人の書斎
・書斎に続く梁見せの天井の和室
・業務用設備を使用した手作りキッチン(モザイクタイル貼の壁や調理台)
・自然たたみ
・無垢の杉板を使用した造作家具
本棚、靴箱、ベンチ、ダイニングテーブル、椅子、学習机
   
・自然素材を多用した内装(無垢の杉・布クロス・紙クロス・珪藻土入り石膏ブラスター・ホワイトウッド)
・呼吸する断熱材(羊毛)を使用(パネルで展示)
・床は42mmの無垢の杉板(ハーブオイル塗布)
・杉のやさしい足ざわり
・段差のない床
・防腐防蟻処理しないための工夫

オーナー紹介にかえて  オーナーMさんが書いてくださった家づくり体験記です。
私たちの家族の家が建ち上がるまで
 「えっ−!そんなに見て回られたのですか」「坪単価60万円!高気密・高断熱」で人気の高い某ハウスメ−か−の方に驚かれました。いろいろなハウスメ−カ−や工務店の住宅展示場や完成見学会へよくでかけていたころの会話です。
 こうしてM家の《体にいい、暮らしやすい》を建てたい願望は4〜5年経過していきました。その間に家族は4人になり、西村工務店さんへ家族4人と2人程度が宿泊できる部屋の確保などをお願いすることになりました。
 でき上がりを見られて、いろんな感想をお持ちになられるでしょう。「あれは、こうしたらよかっただろうに」「これは使いやすいの」「私、こういうの好き」「僕、こんな家嫌い」などと、十人十色の声が聞こえてくるようです。
 西村工務店さんの家づくりは、家族構成、ライフスタイル、新しい家でやりたい事やそれぞれの部屋の役割など、ユ−ザ−の思いを基本にして、社長さんが設計されます。住宅メ−カ−の営業マンのような、笑顔・サ−ビス・(商売上手)・キャラクターの絵入りのおみやげの3点セットではなく、実用重視・“設計士さま”の小憎らしい(こんなかわいい表現でいいのかなぁ)意見・田主丸の特産品や自家製のおみやげの3点セットでした。こうした打ち合わせを重ねながら、どうにか建ち家と相成り、時折、裏舞台でハードなやり取りを繰り広げながら、ちょっと自慢したくなるような【ホームスイートホーム】ができあがりました。現場の方たちは「人柄は仕事にでる」という表現がぴったりで、たいへん丁寧に大切に造っていただきました。
 この家も、もうすぐM家の一員。西村工務店の関係者の皆さんどうもありがとうございました。わが子のように手塩にかけて育てていただいた分、大事に、これからの時間をともに過ごしていきたいと思っています。  でも、子離れも上手になってね。(特に設計士さま)

 

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